教室環境とチーム環境の類似性について
以前、ある場所でふと手に取った
「データが語る学校の課題」という本があります
データが語る〈1〉学校の課題―学力向上・学級の荒れ・いじめを徹底検証 (データが語る 1) https://www.amazon.co.jp/dp/4810074870/ref=cm_sw_r_cp_api_bdR3zbCSYW8SH
この中に、Q-Uと呼ばれる学校生活に関するアンケート結果を分析すると、学力との相関が見られるということが書かれていました
Q-Uについて
http://www.saga-ed.jp/kenkyu/kenkyu_chousa/h25/04_soudan/jittai_q-u.htm
ものすごく単純化して書くと
◾️学級のタイプにはいくつかのパターンが見られる
・【満足型】
一定のルールが存在しつつ、親和的人間関係があり積極的な発言が見られる。
子供達は学級内に自分の役割と居場所を見出している
・【管理型】
ルールを重視しそれによって管理される。一見落ち着いていて問題がないように見える
子供達の意欲に大きな差が見られ、子供同士の関係が希薄。
教師の評価を気にしがち
・【なれあい型】
一見のびのびして元気な学級に見えるが、ルールが希薄。
子供達の間で小さなトラブルが頻発
・その他省略
◾️学級環境を【満足型】にすると、学力が伸びる子供が増え、学力面で置いていかれる子供が少なくなる
・【満足型】では多くの子供達が学校生活に満足できるので、学習に集中できる
結果、置いていかれる子供は現れにくい
・【管理型】ではその環境に満足できる子供は伸びるものの、適応できない子供達の学力が低下する
結果、置いていかれる子供が多くなる
というような話が書いてありました。
子供達の学力向上には、カリキュラムの良し悪しであるとか、教師の能力であるとかいった要素ではなくて
教室の環境を整えてあげることが重要だということだと思うのですが
個人的には非常に納得感のある話だなと思います。
そもそも現在の学校の指導方法が
教える側の効率化という立場に立って作られた
1対多の一斉教授方式で…
というような話も興味のある話ですが
ここではそれは置いておいて
子供達の置かれる環境、
特に心理的な環境(学級内の人間関係が親和的であるとか、自分の役割や居場所をそこに見いだせるか?といった環境)が
子供達の学力ややる気といったものに強く影響を与えるという事実が非常に興味深いなと思ったわけです。
そしてこれを自分の生活の中に投影してみると
仕事をしていく中でのチーム環境というものが、チームメンバーのモチベーションやパフォーマンスに影響を与えるという事実と合致するなと思うわけです。
特に企業内でチームを組成して何かに取り組むとき
そのチーム内の人間関係であるとか
そこにいるメンバーそれぞれが、チームの中での自分の役割を意味のあるものと考えられているかとか
チームの中に居場所が保証されているか
といった要素が、思っている以上にチームの成果に密接に結びついていると日々感じているので
「データが語る学校の課題」に書かれていた分析結果がより納得感のあるものに感じられたのだと思います。
人は自分の居場所がそこにないと感じたとき
笑顔が減り、発言に積極性がなくなり、必要性が薄いと思われる行動をとらなくなっていきます
そういった意味で、チームをまとめたり導いていく為には、
メンバーの表情、発言量や内容、メンバー間の関係性
などに日々気を配り目を配る必要があると思っています
業務に関係する知識を学習したり、スキルを磨いたり、新たな技術を研究したりももちろん重要だと思うのですが
チームの中に1人くらい、ただひたすらにみんなに気を配る人というのがいると、チームはより上手く能力を発揮して、成果に繋がっていくのではないかな?など思うわけです。